患者様の声【症状別】

脊髄小脳変性症について

カテゴリ:その他の慢性病

脊髄小脳変性症とは、小脳と脊髄の連絡線維の変性のことです。

小脳をはじめとする、さまざまな脳の領域の神経細胞が進行性に変性・脱落し、運動失調(歩行時のふらつき、手足が上手く使えない、呂律が回らないなど)をはじめとして、痙性麻痺(足の突っ張り、歩きにくさなど)パーキンソニズム(筋肉が固くなる、動作がゆっくりになるなど)末梢神経障害(手足のしびれ)などある時点でさまざまな神経症状がゆっくりと出現し、進行する神経変性疾患の総称が脊髄小脳変性症(SCD)です。

厚生労働省の統計によると全国で約4万人の患者さんがいます。
孤発性(遺伝性のないもの)と遺伝性の2種に分けられ、6~7割が孤発性です。
孤発性の大部分は多系統萎縮性(MSA)ですが、その他に皮質性小脳萎縮症という、小脳だけが萎縮する疾患がありますがこれも実は多系統萎縮症(MSA)の一部ではないかとも言われています。
多系統萎縮症(MSA)は オリーブ橋小脳が萎縮して起こる小脳系の症状・線条体黒質が変性して起こるパーキンソン系の症状・脊髄、仙髄、脳幹、核などには自律神経系の中枢があり、それらが障害されておこるシャイドレーガー症候群(自律神経系障害)があり、これら三つの系統=多系統が障害するということです。

多系統萎縮症は様々な症状がでます
・小脳失調、パーキンソン症状(パーキンソニズム)
・うつ症状
・睡眠異常
・起立性低血圧による意識喪失
・飲み込みが悪く嚥下障害から起こる誤嚥性肺炎
・発作的に息ができない状態になる気道狭窄
・便秘、下痢、神経因性膀胱、インポテンツ
・発汗異常・・・など

診断基準は2008年に下記コンセンサス声明が出されました
30歳以上で成人発症・進行性、孤発性である事
自律神経障害、小脳症状、パーキンソニズムという3つの系統のうち2つが当てはまる事

現在の診断基準により、自律神経症状、小脳失調、パーキンソニズムの3つあるいは2つの系がそろって診断が確定できる頻度は両方合わせて8割くらいだそうです。

小脳失調だけ、パーキンソニズムだけ、自律神経症状だけ・・の人がMSAと診断されずに、ほかの症状と診断されてしまい、早期治療開始に遅れてしまった・・という例が世界的にあるようです。

<一般的な治療法>
小脳症状の対症療法にはセレジストという薬、パーキンソニズムにはL-dopaが用いられるのが一般的ですが、異常なたんぱく質が神経変性を起こすという考えから神経の機能を戻すという病態仰止治療法が研究されているとのことです。しかしながら、進行を止め病気そのものを治すという根本的な治療法は未だないのが現状です。

<当院の取り組み>
「新脳針」は弱った脳神経細胞に働きかけ、刺激を与え、小脳やその他身体全体の血流をよくすることにより、自律神経症状を改善へと導き、少しでも進行悪化を防ぐのを目的とします。
「新脳針」による脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の完治例はありませんが、通常なら進行悪化し歩行困難な方がまだ、ゆっくり介助されながらも歩行できている・・という例はございます。

便秘、立ちくらみ、頻尿、嚥下障害などの自律神経障害が日常生活の質(QOL)を悪くします。
水分をたくさん摂り食事の内容、とろみをつけるなど食べ方の工夫、アルコールを控える、適度な運動リハビリ、カラオケに行く、、、など、ご家庭でできる事に配慮して寄り添ってください。

 

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